離婚をしたときは、財産分与で車を譲渡する(譲渡される)ときや、名字が変わる(変更登録)ときなどには、車の名義変更をしなければなりません。
特に女性は名字を元の姓に戻したり、引っ越すときなどには、必ず名義変更を行う必要があります。
今回の記事では、離婚後に行う車の名義変更について、必要書類や手続きの流れを解説していきます。
離婚による車の名義変更について
離婚をすると、夫婦のどちらか一方または両者とも引っ越すため、住所が変わることになります。
例えば、住所だけが変わる場合は住所変更、名字を旧姓に戻す場合は氏名変更の「変更登録」を陸運局や軽自動車検査協会で手続きを行います。
また、夫婦どちらかの名義で購入していた車を譲渡する場合は、所有者や使用者が変更するため、名義変更(移転登録)をしなければなりません。
ローン支払い中の車は、残債を完済しなければ名義変更(所有権解除)ができないので、残債を完済するのか?離婚後もローンを継続して支払うのか?夫婦で協議する必要があります。
つまり、自動車検査証の記載内容に変更がでる場合には、名義変更手続きを速やかに行うように道路運送車両法で決められています。
離婚による車の名義変更で必要な書類
離婚するときの財産分与などで、夫婦どちらかに車を譲渡する場合には、必ず名義変更を行わなければなりません。
離婚で名義変更を行うときには、下記の必要書類が必要になるので、事前に用意するようにして下さい。

普通車と軽自動車では、用意する書類が異なるので、下記の表を参考にして下さい。
項目 | 軽自動車 | 普通車 |
---|---|---|
自動車検査証 | 〇 | 〇 |
自動車税納税証明書 | 〇 | 〇 |
譲渡証明書 | - | 〇 |
実印 | 認印 ※不要の地域あり | 〇 ※旧所有者/新所有者 |
印鑑証明 | △ ※軽自動車は住民票でも可 | 〇 ※旧所有者/新所有者 |
委任状 | - | △ ※本人以外が手続きする場合に必要 |
車庫証明書 | △ ※不要の地域あり | 〇 |
申請依頼書 | 〇 | - |
手数料納付書 | - | 〇 |
申請書( OCR) | 〇 | 〇 |
所有者や使用者に変更があった場合には、車庫証明書を新たに取得する必要があります。
住民票や印鑑証明書などの公的書類は、「発行日から3ヵ月以内の書類」と決められているので、名義変更の際には日付に注意して下さい。
尚、「申請依頼書」「手数料納付書」「OCR申請書」は、軽自動車協会や陸運局で入手できるので、事前に用意する必要はありません。
普通車と比べて軽自動車は、用意する書類も少なく、印鑑証明書や実印なども不要なため、名義変更を初めてする人でも、簡単に手続きができます。
離婚による車の名義変更の手続きや流れ
離婚による車の名義変更に必要な書類が揃ったところで、いよいよ実際に名義変更を行います。
普通車と軽自動車では、名義変更を行う場所や方法が異なります。



ここでは、離婚による普通車の名義変更手続きや流れを説明していきます。
- 新住所を管轄している警察署を調べる。
- 管轄の警察署で車庫証明書の書類一式を貰う。
- 駐車場を借りている場合は使用承諾書に署名・捺印を貰う。
※自分が所有している土地に車を駐車する場合は「自認書」に署名・捺印をする。 - 車庫証明書の書類一式を管轄の警察署に提出する。
- 新住所を管轄している陸運局を調べる。
- 新住所を管轄している役場に印鑑証明書を取りに行く。
- 譲渡証明書や委任状などの書類に記入・捺印をする。
- 車庫証明書が発行されたら管轄の警察署に取りに行く。
- 新住所を管轄している陸運局で名義変更の手続きを行う。
- 名義変更完了。
名義変更を行う場合の注意点は、車庫証明書には有効期間があり、発行日から1ヵ月以内に名義変更をしなければいけません。
もし、車庫証明書の発行日から1ヵ月以上が経過した場合は、再度車庫証明書の申請をすることになります。
また、住民票や印鑑証明書などの公的書類いも有効期間が決められており、発行日から3ヵ月以内に名義変更を完了させる必要があります。
尚、軽自動車の名義変更は陸運局ではなく、新住所を管轄している「軽自動車検査協会」で行って下さい。
離婚による車の名義変更に必要な期間
通常の名義変更は、車庫証明書や公的書類の有効期間内に行うのが一般的です。
しかし、道路運送車両法の第67条第1項では、「自動車検査証登録事項に変更を要する場合には、その事由があった日から15日以内に変更手続きをしなければならない」と、記載されています。
このことから、離婚による車の名義変更に必要な期間は「15日以内」で、もし期間内に名義変更をしなかった場合は、30万円以下の罰金が科せられます。
離婚をして名義変更をしないとどうなる?
離婚をして名義変更をしないとどうなるのか?
もちろん、離婚をしてもしなくても、車を譲渡したら名義変更をしないといけません。
名義変更をしなかったときのリスクにつて解説していきます。
ローン支払い中の車
ローン支払い中の車で、離婚後に名義変更をしなかったら、自動車保険(任意保険)の加入に支障がでたり、ローン支払いを滞った際には最悪の場合、車が差し押さえされるケースも考えられます。
また、自動車税を滞納した場合にも、車が差し押さえられたり、車検が受けられなかったりします。
ローン支払い中の夫名義の車を妻に譲渡する場合は、所有権を持っているローン会社に事情を話して、名義変更の許可を得る必要があります。
その際には、次の使用者である妻に支払い能力があるかどうか?ローン会社から再審査を求められるかもしれません。このように、ローン支払い中の車を譲渡する場合には、多くのリスクを伴います。
結婚後に現金で購入した車
結婚後に現金で購入した車は、ローン支払い中の車と違って、夫婦おちらの名義の車であっても、譲渡しやすいメリットがあります。



ただし、夫婦どちらかが名義変更を拒否した場合には、下記のリスクを伴います。
- 自動車税を納付してくれるとは限らない。
- 車を自由に手放すことができない。
- 駐車禁止などの違反を犯すと名義人に違反通知が送られてくる。
- 当て逃げやひき逃げなどの事故を起こすと名義人が過失追及を問われる。
- 名義変更を怠ると道路運送車両法に基づき30万円以下の罰金が科せられる。
上記のリスクは、あくまでも代表的なものを挙げただけですが、どれも名義変更さえ行っていれば、回避できる問題ばかりです。
このようなことから、離婚をして車を譲り受けた場合には、必ず名義変更をしなければ、法的に罰せられます。
まとめ
離婚をしたときの名義変更について解説してきましたが、名義変更はしなければ、夫婦どちらとも、非常に大きなリスクを背負うことになります。
離婚後も車は生活に必要な大切な物ですから、夫婦どちらに譲渡することになっても、名義変更は必ず行って下さい。
離婚後の名義変更についてご不明な点等がありましたら、管轄の陸運局または軽自動車検査協会にお問い合わせ下さい。