大都市以外にお住いの方は、車を持っていないと生活に支障がでてしまいますが、駐車場の料金が高い大都市では、車を持てない方がほとんどです。
そのような大都市に住んでいる方でも、車が急に必要になることがあります。これまでなら、レンタカーを借りるのが一般的な方法でしたが、最近では「カーシェア」を利用する方が増えてきています。
「カーシェアとは一体、どのような仕組みなのか?」「カーシェアのメリットやデメリットは?」「カーシェアって本当に安いの?」
など、カーシェアはレンタカーほどの知名度がなく、どのような仕組みなのかも、知らない方が多いのではないでしょうか。
今回は、カーシェアのメリットやデメリットや、大手カーシェア業者の料金やサービスなどを比較しながら、おすすめのカーシェア業者を紹介させて頂きます。
カーシェアとは?
カーシェアは、正式には「カーシェアリング」と呼ばれるサービスで、業者が貸し出す車を会員間でシェア(共有)して使うサービスのことです。
簡単に説明すると、好きなタイミングで好きな時間だけ車を利用できるサービスで、数十分単位の短時間でも利用することができます。
カーシェアを利用する会員登録さえしてしまえば、煩わしい手続きをすることなく、スマートフォンやパソコンを使って簡単に借りることができます。それでは、カーシェアについて詳しく説明していきます。
カーシェアの主なサービス
カーシェアは、各業者によってサービス内容は異なりますが、基本的なサービスはどこの業者も似ています。主なサービスは、以下のようなものがあります。
数十分単位から借りることができる
カーシェアは、最短10分から利用することができるので、ちょっとした買い物や子供のお迎えなどにも、気軽に車を借りることができます。急に車が必要になったときなど、非常に便利なサービスです。
利用料金が安い
カーシェアは、利用時間も数十分単位で借りられるので、利用料金も15分で200円前後の設定が多く、レンタル自転車を借りる感覚で利用することができます。また、長時間利用したいは、お得なパック料金が用意されているので、安い料金でレンタカーと同じ使い方ができます。
返却時は燃料補給の必要なし
レンタカーや友達に車を借りた場合には、燃料は満タンにして返すことが当たり前になっていますが、カーシェアは自費で燃料を補給する必要がありません。もし、燃料が少ない場合は、備え付けの給油カードを使って、指定のガソリンスタンドで給油するだけです。
いつでも使える
カーシェアは、主要な駅周辺や住宅街などに「ステーション」と呼ばれるスペースに、シェア専用の車が複数台置かれています。
車の空き状況などは、スマートフォンから確認できるので、車が空いていれば24時間いつでも利用することができます。レンタカーと違って、受付の時間を気にする必要もなく、自分の使いたいタイミングで借りることができます。
カーシェアの仕組みや利用方法
カーシェアリングの仕組みや利用方法は、各業者によって若干違う場合もありますが、簡単に流れなどを説明しておきます。
カーシェアの仕組み
カーシェアは、ステーションと呼ばれる場所に駐車してある車を「会員間でシェア(共有)して利用するサービス」のことです。
借りる側は、決められた料金を支払うことで、自由に車を使用することができますが、貸主側の業者に対して会員登録をしなければ、車を利用することができません。
仕組み自体は難しいものではありませんが、利用しやすい反面、借りる側のモラルも問われる(車の使い方など)ので、各自が「使わせて頂いている」と言う感謝の気持ちを持って利用することが大切です。
カーシェアの利用方法
カーシェアを利用するには、下記の手順で行います。
- 希望するカーシェア業者で会員登録を行う。
- 業者のサイトもしくは専用アプリから使用する車の予約を行う。
- 車が止めてある「ステーション」に行き、会員カードもしくはスマートフォンで予約車の鍵を解除する。
- 車内の指定された場所にキーが保管されているので、乗車前の簡単な点検を行ってから利用を開始します。
- 使用後は、元もステーション車を戻して、キーも元の場所に戻します。
- 会員カードもしくはスマートフォンでドアの施錠をします。
- 支払いはクレジットカードに請求されます。
基本的な利用方法は上記の手順で行いますが、業者によっては若干異なるかもしれません。
利用後は、ガソリンの給油や洗車を行う必要はありませんが、常識の範囲内で簡単な車内清掃をした方が、次の方が気持ち良く使用することができます。
カーシェアとレンタカーの違い
カーシェアとレンタカーの違いは、以下のようなものが挙げられます。
項目 | カーシェア | レンタカー |
---|---|---|
店舗や営業所 | 店舗なし、無人 | 店舗あり、対人にて接客 |
手続き | インターネットにて会員登録を行う | インターネットで予約を行っても、店舗にて更に手続きを行う |
任意保険 | 手続き不要 | 店頭にて加入手続きを行う |
燃料の給油 | 不要 | 指定のガソリンスタンドで満タンにして返却 |
営業受付時間 | 24時間利用可能 | 店舗によって営業時間が決まっている |
利用時間 | 「10分や15分など」、数十分単位で利用可能 | 「6時間まで」など、数時間単位で利用可能 |
利用料金 | 「10分や15分など」の場合、200円~500円ほどで利用可能 | 一般的な車種の場合、5,000円以上が相場 |
乗り捨て | 不可 | 可能 |
主な違いを挙げてみましたが、「安く」「気軽に」「いつでも」を考えると、カーシェアが圧倒的に使いやすいことが良く分かります。
ただし、カーシェアは会員登録が有料の業者があるので、登録を行う際には料金システムを把握するようにして下さい。また、長時間利用する場合は、レンタカーの方が安いことがあるので気を付けて下さい。
初期費用や月額料金が無料の業者があるので、サービス内容や会員料金などを詳しく調べてから、会員登録して下さい。
カーシェアのメリット・デメリット
カーシェアは、便利なサービスですがデメリットはあるのでしょうか?カーシェアのメリットやデメリットについて紹介していきます。
メリット | デメリット |
---|---|
営業時間などの縛りがないため、24時間いつでも利用することができる | 車が駐車してあるステーションが近所にない場合は、移動に交通費が掛かる場合や移動手段に困るなど、非常に不便です |
日常の買い物や送迎など、数十分単位の短時間での利用が可能 | カーシェアする時間が長い場合は、レンタカーの方が安いことがある |
パソコンやスマートフォンで予約を行うだけで、すぐに利用することができる | 毎月の月額基本料を設定しているカーシェア業者がある |
カーシェアの車は、業者が全てメンテナンスを行うので、借りる側は乗りっ放しでOK | 予約が多いときには、利用時間の延長ができない場合がある |
全国規模のカーシェア業者なら、旅先でも日頃と同じ手順で車の利用ができます | レンタカーと違って、乗り捨てができないため、元のステーションに返却しなければいけません |
給油が必要な場合は、備え付けの「給油カード」で給油するだけ | カーシェアは車種が限られているので、好きな車がないことがある |
カーシェアは、予約開始時間までにキャンセル処理を行えば、キャンセル料は発生しません | 次の方が気持ちよく乗れるよう、車内はマナーとして綺麗にするのが基本ですが、汚いままで返却する会員も少なからずいる |
ETCやカーナビゲーションが標準装備されているので、高速道路の支払いや知らない土地でも、安心して運転できます | 急に車が必要になっても、予約状況によっては希望の時間で借りられないことがある |
メリットばかりが目に留まるカーシェアですが、デメリットと呼べるほどではありませんが、少なからずデメリットもあります。
ステーションが近所にないのは大きなデメリットですから、ステーションの場所を確認してから、会員登録をするようにして下さい。
国内主要カーシェア業者3選のサービス/料金等を比較
楽天がオリックス自動車と提携するなど、カーシェア業界に参入する企業が増え続けています。カーシェアを取り入れているマンションも増え続けているので、カーシェアも身近になりつつあります。
ここでは、国内主要カーシェア業者3社のサービスや料金システムを比較していきます。
項目 | careco(カレコ) | オリックスカーシェア | タイムズカー |
---|---|---|---|
初期費用 | 無料 | 1,050円(ICカード) | 1,650円(ICカード) |
月額基本料 | 980円 | 880円 | 880円 |
通常利用料金 | 140円~620円/10分 | 220円~520円/15分 | 220円~440円/15分 |
パックの種類 | 4種類 | 7種類 | 7種類 |
夜間パック | 有 | 有 | 有 |
パック料金 | 2,700円~19,300円 | 2,600円~15,800円 | 2,640円~27,500円 |
利用料金(距離) | ・6時間以内:無料 ・6時間以上:16円~20円/km | ・6時間以内:無料 ・6時間以上:16円/km | ・6時間以内:無料 ・6時間以上:16円/km |
ガソリン代 | 無料 | 無料 | 無料 |
ステーション数 | 2,500ヶ所以上 | 約1,700ヶ所 | 13,000ヶ所以上 |
取扱車種 | 国産車/輸入車 | 国産車 | 国産車 |
展開地域 | 15都府県 | 29都道府県 | 47都道府県 |
careco(カレコ)は、大手不動産グループ「三井不動産」が運営しているカーシェアで、三井のリパークを中心にステーションを設置しています。そのため、駅前や住宅街にステーションがあるため、マンション入居者にとっては利便性が良いメリットがあります。
ただし、他の大手と比べて展開地域が限られているため、首都圏中心の都市型カーシェアと言えます。三井不動産グループの様々な優待が受けられることや、安い料金で車を借りたい方におすすめのカーシェアです。
オリックスカーシェアは、業界第2位の規模を誇る老舗カーシェア業者で、全国に約1,700ヶ所にステーションを設置しています。会員登録を行うことで、全国のステーションを利用することができます。
駅前にステーションがある地域が多い利点を生かして、旅行や出張先でタクシーや公共交通機関の代わりにカーシェアすることが可能です。2022年3月時点では、中国四国地方/九州地方には4拠点しかありませんが、楽天グループとの提携が決まったことで、今後は更に事業拡大する見込みです。
タイムズカーは、コインパーキングで有名な企業ですが、圧倒的なシェアでカーシェア業界No.1に君臨しています。
ステーションも47都道府県に設置されていますし、ステーション数は10,000ヶ所を優に超えるほどで、利便性でも他を圧倒しています。ただ、取り扱い車種は絞られており、最上級のプレミアムクラスには、セレナ/ノア/ヴォクシーの3車種しかありません。
カーシェア業者の選び方
先ほど紹介した大手カーシェア業者3社を見ても分かる通り、料金やサービス面では一長一短です。
現在では、カーシェア業者もたくさん存在していますが、自分の目的に合った業者を選ぶことが最優先です。カーシェア業者の選び方について説明していきます。
ステーションで選ぶ
いくら利用料金が安くても、近所にステーションがなければ、移動する交通費や時間が掛かってしまいます。自宅の近くにステーションがあることが、カーシェア業者を選ぶ上では最も重要なことかもしれません。
利用料金で選ぶ
会員登録に初期費用が必要な業者もありますが、会員カードの作成費用として充当されるため、それほど気にする必要はありません。
利用頻度がそれほど多くない場合は、月額基本料金が安いカーシェア業者を選ぶのが良いでしょう。逆に利用頻度が高い方は、月額料金が必要でも、通常利用料金やパック料金が安いカーシェア業者を選ぶことをおすすめします。
オプションサービスで選ぶ
小さなお子様の居る方は、チャイルドシートやジュニアシートが必須ですし、ペットを飼っている方にとっては、ペット同乗が可能なのかが重要になります。
また、雪の多い地域の方では、スタッドレスタイヤ装着は必須になります。このように、料金が安いなどの他にも、オプションサービスの有無も業者選びでは重要な基準になります。
カーシェア利用上の注意点やトラブル
カーシェアを利用するにあたって、トラブルが起こらないように、以下のことに注意して利用して下さい。
車の内外装のチェック
車を利用する前に、必ず内装と外装の傷などのチェックをして下さい。レンタカーでは、事前に傷の個所や不具合個所を店員と一緒に確認してから乗るはずです。
カーシェアは、無人で立会いもないため、自分でチェックするしかありません。不特定多数の方が使用しているので、傷や不具合のある車もたくさんあります。
身に覚えのない傷の責任を押し付けられないように、乗車前には必ず傷のチェックをするとともに、撮影→報告をするように心がけて下さい。
車内の確認
カーシェアは、返却後も車両確認をしないため、車内に忘れ物やゴミなどがそのまま残っていることがあります。
また、ペット同乗の形跡やタバコの吸い殻などは、特に会員資格取り消しの対象になるので、自分に被害が及ぶ前に業者に報告するようにして下さい。
もし、報告を怠ってしまうと自分に疑いが掛かる恐れがあるので、十分に注意しなければいけません。
ガソリンの給油
カーシェアでは、ガソリンの給油はしなくても構いませんが、さすがにガソリンの警告灯が点灯した場合は、次に利用する方のことを考えて給油するのがマナーです。
自分が利用するときに、ガソリンの給油ランプが点灯していたらどう思いますか?自分の評価にも繋がるので、面倒でも注意して行動するようにして下さい。
カーシェアが向いている人とは?
車を使う頻度が少ない方や、短時間で頻繁に使う方は、カーシェアが向いています。
車を購入しても、毎日数十分しか乗らない場合は「任保険料金」「車検費用」「自動車税」など、維持費ばかり掛かることになります。
毎日短時間しか使用しない方には、必要なときだけ車が使えるカーシェアが向いています。
まとめ
カーシェアは店頭での接客を受ける必要がないため、自分のタイミングで気軽に車を借りることができます。
たくさんあるカーシェア業者の中でも、今回紹介した「カレコ」「オリックスカーシェア」「タイムズカー」の3社は、特に利用者数や注目度が高く、人気カーシェア業者です。
短時間の利用目的の場合は、料金設定が安い「カレコ」がおすすめですが、利便性ではステーション数が多く業界大手の「タイムズカー」、サービスの充実度では楽天と提携した「オリックスカーシェア」がおすすめです。 使い方によっては、非常に便利なカーシェアシステムなので、各自がモラルを持って利用するようにして下さい。