なかなか車内が暖まらなかったり、冷たい風が出なかったりする車のエアコンは、何かしらの部品が壊れている可能性が高く、早急に修理する必要があります。
エアコンの修理代は高額になるケースが多く、車の状態や年式によっては、車を買い替えた方が得な場合もあります。そこで今回は、車のエアコンが壊れた原因や修理費用について徹底解説していきます!
これってエアコンの故障?
最近の車には、家庭用エアコンと同じ仕組みのカーエアコンが、当然のように標準装備されています。車のエアコンは、家庭用と違って年中無休で使用している人が多く、定期的なメンテナンスが必ず必要です。
エアコンの故障が考えられるのは、下記のような症状が出たときです。
- 冷房が効かない。
- 暖房が効かない。
- エアコンをつけると悪臭がする。
- エアコンをつけると異音がする。
- エアコンをつけても風が出ない。
- エアコンを入れても「カチッ」と言わない。
上記の症状が出たときには、エアコンが既に故障しているか、壊れる前兆と思われます。
修理しないでそのまま放置してしまうと、各機器類に負担が掛かり、壊れていなかった部品まで壊れる可能性があります。
そうならないためにも、早急に修理することをおすすめします。
車のエアコンが効かない原因は?
先ほどの「これってエアコンの故障?」で紹介した症状が出た場合には、何らかの原因でエアコンに不具合が発生しています。
それぞれの症状について詳しく解説していきます。
冷房が効かない!
いつもより冷たい風が出てこない!と感じたときは、冷房が効いていない証拠。
エアコンは、液体から気体に変化するときの「気化熱」を利用して、通常の風とは異なる「冷たい風」」を出しています。
冷房が効かない原因は、下記のことを調べれば分かります。
- エアコンのスイッチは入る?
- エアコンガスの量は大丈夫?
- 気化するための部品が壊れている?
- 冷たい風を送る部品が壊れている?
上記の問題を1つ1つチェックしていくことで、冷房が効かない原因が分かります。
そもそもエアコンのスイッチが壊れていると、エアコンの電源が入らないので冷房は効きません。また、気化させる液体(エアコンガス)が不足していても、エアコンは作動しません。
エアコンのスイッチは入るし、エアコンガスにも問題がない場合は、「気化するための部品」または「風を送る部品」の故障が考えられます。
気化するための部品には、エアコンガスを圧縮する「エアコンコンプレッサー」や、低温の液状化にする「コンデンサー」など、冷たい風を送る部品には、空気を冷やす「エバポレーター」などがあります。
これらの部品は、素人では確認しにくいので、専門業者に調べてもらうようにして下さい。
暖房が効かない!
筆者の経験上、「暖房が効かない!」と言って、エアコンの故障を疑ったユーザーはほとんどいません。「この車、暖房の効きが悪いんだよね~」くらいで、エアコンが壊れていることに気づいていない人が多くいます。
暖かい風が出ないのは、下記の原因が考えられます。
- 冷却水の不足
- サーモスタットの故障
車の暖房は、エンジンの熱(冷却水の熱)を利用して、暖かい風を出しています。そのため、早朝などでエンジンの掛け始めでは、エンジンが冷えた状態ですから、暖かい風が出てきません。
水温計も上がり、エンジンが十分に暖まった状態でも、暖かい風が出てこないときは「冷却水の不足」もしくは「サーモスタットの故障」が考えられます。
筆者の経験では、暖房が効かない原因のほとんどが、サーモスタットの故障。
サーモスタットが故障して、弁が開きっぱなしになると、冷却水がエンジンに流れ続けて水温が上がらず、暖かい空気が作れなくなります。
逆にサーモスタットの弁が閉じたままだと、冷却水が蒸発してしまって、エンジンに水が送れなくなり、最終的にはエンジンがオーバーヒートして壊れてしまいます。
サーモスタットは、エアコンだけではなく、車にとっても非常に重要な部品ですから、暖房が効かない!と感じた場合には、早急に修理すようにして下さい。
エアコンをつけると臭い!
家庭用のエアコンでも、久しぶりに使用すると「臭い!」と感じた人がいるはずです。ホームセンターなどで、エアコンの消臭剤やエアコンクリーナーなどの商品が多く売られています。
車のエアコンも同じで、「エアコンをつけると臭い!」と言う相談を筆者も良く耳にしました。エアコンの悪臭問題は、車を所有する人にとっては、永遠のテーマーかもしれません。
エアコンの異臭の原因は、下記のことが考えられます。
- エアコンフィルターの汚れや詰まり
- エバポレーターの汚れや詰まり
エアコンの吹き出し口から出てくる嫌な臭いは、「ホコリ」や「カビ」が原因です。
エアコンフィルターに汚れが詰まると、フィルターにカビが繁殖して、綺麗な空気が送れなくなります。また、冷たい風を車内に送り出すエバポレーターが汚れていても、臭い風を車内に送ることになります。
特にエバポレーターは、結露が溜まりやすく、カビが発生しやすい部品ですから、年に1度は専門業者で清掃することをおすすめします。
エアコンをつけると異音がする!
エアコンをつけたときに、何処からともなく金属音が聞こえてきたら「エアコンが故障しているサイン」です。ある程度ですが、音の鳴り方によって、故障している部品を特定することができます。
項目 | 故障している時の音 |
---|---|
コンプレッサーの故障 | 「ギギギギ」 「ガラガラ」 「ウィーン」 「ジー」 |
ブロアファンモーターの故障 | 「カラカラ」 「カタカタ」 「キュルキュル」 「キーン」 |
エバポレーターの故障 | 「ブーン」 「ブイーン」 |
あくまでも音のイメージですが、エアコンを作動したときに、上記の音が聞こえたらエアコンに関連する部品の故障が考えられます。
専門業者にしか修理できない部品が多く、上記の異音が聞こえたら速やかに修理することをおすすめします。
エアコンの風が出ない!
エアコンの風量をMAXにしても、音ばかりで風が全く出てこないことがあります。輸入車によく起こる症状で、筆者も輸入車を仕入れるときには、真っ先にエアコンの風が出るかを調べたものです。
エアコンの風が出ないのは、下記の原因が考えられます。
- エバポレーターの故障
- ブロアファンモーターの故障
- エアコンフィルターの劣化
エアコンフィルターが詰まっているだけなら、軽く掃除をすれば直ることがありますが、風が出なくなる症状に関しては、エアコンフィルターだけの問題ではありません。
筆者の経験では、風が出なくなる原因で最も多いのは「エバポレーターの故障」か「ブロアファンモーターの故障」です。
どちらも風を送る重要な部品で、故障した場合には風量が弱くなったり、風が一切出なくなります。
冷たい風は出ているけど、風量が弱いと感じたら「エバポレーター」もしくは「ブロアファンモーター」の故障と思って間違いありません。
車のエアコンが効かないときの応急処置
車のエアコンが効かないときは、まず同乗者を暑さから守らなければなりません。特に小さなお子様や高齢者が同乗しているときには、熱中症になる恐れがあります。
ここでは、車のエアコンが効かないときの、応急処置について解説していきます。
エアコンガスの点検
エアコンが壊れた場合、素人が修理できる故障ではありません。車のことに無知な人でも、エアコンガスの量は簡単に調べることができます。
エアコンガスの有無は、下記の手順で調べて下さい。
- エアコンを作動させる。
- エアコンの風量をMAXにする。
- 循環切り替えを「内気循環」に設定する。
- エンジンの回転数を「1,500rpm~2,000rpm」まで 上げる。
- ボンネット内にあるサイトグラス(レンズの覗き穴)を覗く。
- サイトグラス内の気泡量を目視する。
車に詳しくない人には、エアコンガスを確認するレンズ(サイトグラス)が、何処にあるのか分からないかもしれません。
一般的には、ボンネット内の配管(アルミパイプ?)に、レンズが剥き出しのまま上向きでついています。
シルバーの配管についているので、簡単に見つけることができますが、見たことがない人には分かりにくいかもしれません。
ただ単にエアコンガスが「過充填」または「ガス不足」だけなら、ガソリンスタンドやカー用品店でも、すぐに直すことができます。
エアコンガス量の点検は、直接エアコンが直る応急処置とは言えませんが、確認の仕方を知っていれば、速やかに処置が施せます。
同乗者の保護を最優先!
エアコンが急に効かなくなった場合、すぐに直すことは不可能。
同乗者を熱中症から守るためには、下記の応急処置を行って下さい。
- 水やスポーツドリンクを購入する。
- 氷や保冷剤を購入して首回りを中心に冷やす。
- 車載用の扇風機などの冷却グッズを購入する。
- 直射日光が当たらないように衣服やタオルで窓を覆う。
高速道路ならパーキングエリア、一般道走行中ならコンビニエンスストアやスーパーなどで、「飲み物や氷」「保冷剤」などを購入して下さい。
特に小さなお子様や高齢者が同乗しているときは、ちょっとした暑さでも体調を崩す恐れがあります。
水分補給はもちろんですが、保冷剤や氷をタオルに包んで、首回りに巻き付けるだけでも、熱中症対策の応急処置ができます。
車内の温度を下げる!
水や氷がすぐに用意できない場合は、窓を開けて走行して下さい。効率よく車内の温度を下げるためには、「窓の開け方」にポイントがあります。
- 運転席の窓を開ける。
- 対角線上の後部席窓(助手席側の後部席窓)を開ける。
助手席の窓を開ける場合は、運転席側の後部席窓を開けるのがポイント。対角線の窓を開けることで、車内の空気が流れやすくなって、冷たい空気を素早く取り込むことができます。
窓を開ける量は、全開にする必要はなく、5cm~10cm程度開けるだけでも、十分な効果が期待できます。急にエアコンが効かなくなった場合には、車内温度を下げるための応急処置を行って下さい。
車のエアコン修理の費用相場
ここまでの記事では、エアコンが効かない原因について紹介してきましたが、読者の人が一番気になるのは「エアコンの修理代」ですよね。
エアコンが効かない原因が分かったところで、その修理費用について解説していきます。
項目 | 修理費用の目安 |
---|---|
エアコンガス充填 | 3,000円~5,000円程度 |
エアコンガス漏れ点検 | 20,000円~50,000円程度 |
エアコンプレッサー交換 | 50,000円~100,000円程度 |
エバポレーター交換 | 50,000円~100,000円程度 |
サーモスタット交換 | 10,000円程度 |
冷却水交換 | 3,000円~5,000円程度 |
冷却水補充 | 1,000円/L |
ラジエーター交換 | 50,000円~100,000円程度 |
エアコンフィルター交換 | 2,000円~5,000円程度 |
ブロアファンモーター交換 | 20,000円~30,000円程度 |
- グーネットピット:https://www.goo-net.com/pit/shop/0150266/blog/249039
- オートバックス:https://www.autobacs.com/static_html/srv/top.html#pitRefresh-2
上記の修理費用は、あくまでも一般的な修理代で、車種や修理業者によっても、金額に大きな差があります。
また、部品に関しても「純正部品」「代替部品」「リビルト品」「中古部品」の、どれを使うかによって、修理費用が変わってきます。
高価な純正部品を無理に使う必要はありませんが、部品代が安価な上に保証付きの「代替部品」もしくは「リビルト品」の使用をおすすめします。
部品の保証もなく、いつ壊れるのか分からない「中古部品」の使用は、極力避けて下さい。
エアコンフィルターやエバポレーターの清掃だけなら、2,000円~5,000円程度で行っている業者もあるので、定期的にエアコンのメンテナンスを実施することで、大きな故障が避けられます。
まとめ
「車のエアコンが効かない!」夏場は特に命に関わる大事件!エアコンの故障は、ある日突然訪れます。
エアコンが故障する前には、「変な音がする」「冷たい風が出なくなった」「風が弱くなった」など、何らかの前兆があるので、エアコンの効きに違和感を覚えたら即行動!
エアコンは沢山の電装品で構成されていますが、どの部品が故障しても、高額な修理費用が掛かります。
ちょっとしたエアコンの不調だけなら、簡単なメンテナンスで見つけることが可能ですが、日頃からの定期点検が最も大切です。
尚、万が一エアコンが効かなくなった場合には、当記事で解説した「車のエアコンが効かないときの応急処置」を速やかに実行して下さいね。
快適なカーライフを送るためにも、エアコンのメンテナンスはお忘れなく!